研究概要 |
1) FURTA法によるFUR制御遺伝子の単離と解析:腸炎ビブリオ、Vibriomimicus,V.vulnificusより鉄制御遺伝子(Fur boxを有する遺伝子)を単離し、得られたクローンの塩基配列を決定した。大腸菌consensus Fur box(19 bp)に対して11-18bpの一致を示すクローンが腸炎ビブリオでは14種、V.mimicusでは8種、V.vulnficusでは12種得られた。いずれの菌株からも既にFur boxの存在の知られているMN-SOD,IrgAB,fumaraseが得られた。さらに、鉄獲得系遺伝子に相同性の高い遺伝子がそれぞれから数種づつ得られた。これらの中に鉄制御外膜蛋白N-末端アミノ酸配列と完全に一致する遺伝子が見つかった。これら以外に鉄含有蛋白であるフェリチンやバクテリオフェリチンの遺伝子も単離できた。 2)pETsystemによるFur蛋白質大量発現クローンの確立と抗体の調製:腸炎ビブリオfur遺伝子をNdeI-BamHI-tag primerを用いてPCR増巾後、pET1laにサブクローニングし、大量発現クローンを得た。Fur蛋白をイオン交換およびアフィニテイークロマトグラフィーで精製し、抗体を調製した。 3)腸炎ビブリオマンガン耐性株のfur遺伝子とFur蛋白質の解析:マンガン耐性株は高率にfur遺伝子に変異を持っていることが示されている。そこで、WP-1株から単離した11種マンガン耐性株(いずれも鉄豊富下でも本菌が産生する鉄輸送キレーター、ビブリオフェリンを産生し、またその外膜レセプター蛋白を発現する)について、PCR direct sequenceを行なった。G12S,H71P,D89N,D104Gのアミノ酸置換変異が見出され、これらアミノ酸残基がFur蛋白の機能発現に重要であることが判明した。Westernblottingによって、Fur産生性の低下している株が見つかり、プロモーター領域の変異の可能性が示唆された。 (これらの研究成果は現在論文投稿準備中である)
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