研究概要 |
1. Burkholderia cepacia KF1のプロテアーゼ産生機構を明らかにするためTn5挿入プロテアーゼ非産生変異株を解析し、periplasmic disulfide bond oxidoreductase(DsbA)の変異であることを前年度に明らかにした。DsbAはすでに報告したmembrane bound disulfide bond oxidoreductase(DsbB)と共役してタンパクの分子内S-S bondを形成する。両変異株を用いB.cepaciaにおけるDsb系の関与を検討した。dsbs変異株では(1)プロテアーゼとアルカリフォスファターゼは産生されないがリパーゼは産生する。(2)菌体の生育速度が減少する。(3)運動性が滅少する。(4)Cd^<2+>とZn^<2+>に感受性となる。(5)β-ラクタム剤のみならず各種抗生剤や陰イオン界面活性剤(SDS)に感受性になる。これらの性状の変化はdsbB変異株よりdsbA変異株で顕著であった。 2.前年度にKF1株のプロテーゼおよびリパーゼ非産生変異株はタンパク分泌系であるTypeII general secretion pathway(GSP)の変異であることを示した。gsp遺伝子群はオペロンを構成している。そこでgsp遺伝子群を含む9914bpの塩基配列を決定した。この領域にはgspD,-E,-F,-C,-G,-H,-I,-J,-K,-LとgspDの上流にipgFのC-末部分が存在し,これらはgspD-E-F,gspC(逆向き)とgspG-H-I-J-K-Lの3個のオペロンを形成することが推測された。ペリプラスム中でpseudopilin様構造を形成する遺伝子群gspG,-H,-I,-JのgspG中の210bp下流にxylEを連結してB.cepacia中でXylE活性を測定した。プロテアーゼ活性は菌体の増殖と共に増大し定常期で最大となり以後減少した。XylE活性はプロテアーゼ産生と共に増加したが定常期以後で最大となった。gspG-Lはオペロンを形成することが示唆され、gsp遺伝子群は少なくとも3個の転写単位を持つ可能性が示された。
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