研究概要 |
Burkholderia cepaciaのプロテアーゼとセパリシンの産生機構を明らかにするためTn5挿入変異法で取得したB.cepacia KF1株およびJN106株のプロテアーゼまたはセパリシン非産生変異株を解析した。 1。KF1株由来のプロテアーゼ非産生、リパーゼ産生変異株を解析した。塩基配列から推測された212個のポリペプチドはEscherichia coliのperiplasmic disulfide bond oxidoreductae(DsbA)と相同性を示した。 2。dsb変異体は(1)プロテアーゼとアルカリフォスファターゼの活性が減少、(2)生育速度の低下、(3)運動性の減少、(4)Cd^<2+>,Zn^<2+>に対する感受性が増加、(5)β-ラクタム剤を含む各種抗生剤と陰イオン界面活性剤に対する感受性が増加した。 3。KF1株由来のプロテアーゼおよびリパーゼ非産生変異株を解析した。これらの変異株のプロテアーゼ産生を相補する領域は9.9kb断片に局在した。塩基配列の解析からグラム陰性菌におけるSec系に依存したタンパク分泌系であるType II secretion systemを構成するタンパクをコードするgspD,-E,-F,-C,-G,-H,-I,-J,-K,-Lであることを示された。gsp遺伝子群はgspD-E-FとgspC(逆向き)とgspG-H-I-K-Lの3個のオペロンで構成されることが推測された。 B.cepaciaのプロテアーゼはType II secretion systemで分泌され、その産生或は分泌にはdisulfide oxidoreductionによる分子内S-S bond形成が必要があることが示唆された。 4。JN106株由来のセパリシンおよびプロテアーゼ非産生変異株はLysR familyに属するアミノ酸塩基327個のポリペプチドの変異であった。そのN-末にはhelix-turn-helixモチーフ構造が存在した。プロテアーゼとセパリシンの両活性はcviR(B.cepacia virulence regulator)と命名したlysR family遺伝子を持つプラスミドにより回復した。cviR遺伝子はプロテアーゼとセパリシンの産生に必要であることが示唆された。
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