研究概要 |
CAP18は抗菌活性およびLPS中和活性をもつ18kDaの塩基性蛋白で140個のアミノ酸残基からなるが,そのC末端側の27残基(27mer)が活性ドメインである。初年度は,生体内での安定性を高めたり,より活性の高いペプチドを探索することを目的として,アミノ酸修飾体や置換体について種々の活性を比較検討し以下の成績を得た。 アミノ酸修飾体の活性 (1)27mer(F12-V38),22mer(El7-V38)のN末端およびC末端をそれぞれアセチル化,アミド化したペプチド(修飾体)のLPS結合活性は両端がフリーのものと同程度であった。(2)LPS投与による致死活性は修飾体で有意にブロックされたがフリーのものでは抑制されなかった。(3)E.coll O157に対する抗菌活性も修飾体で高かった。 アミノ酸置換体の活性 (4)27mer,22merのE22とK31を疎水性アミノ酸のロイシシ(L)で置換するとLPS結合活性は15〜30倍高まった。(5)LPS投与によるショック死も置換体の投与で有意に防御された。(6)O157に対する抗菌活性は置換体で10倍以上も高まった。(7)Lを他の疎水性アミノ酸であるフェニルアラニンで置換した場合も高い活性を示した。(8)1ケ所(E22)のみLで置換した場合,LPS結合活性および抗菌活性は2ケ所置換体とほぼ同じであったが,LPS中和能は低かった。 以上のことから、CAP18ペプチドの活性発現にはα-へリックス構造,親水性アミノ酸と疎水性アミノ酸の配列およびそれらのバランスが重要であることが認められた。また,アミノ酸修飾やアミノ酸置換ですべての活性が高まることから,これらのペプチドは生体内での安定性がより優れていることが示され,エンドトキシンショックなどの治療薬としての臨床応用が期待される。
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