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1999 年度 実績報告書

腸管出血性大腸菌による溶血性尿毒症症候群発症の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 10670268
研究機関岩手医科大学

研究代表者

稲田 捷也  岩手医科大学, 医学部, 講師 (80048446)

キーワード溶血性尿毒症症候群 / ベロ毒素 / 好中球 / サイトカイン / 接着分子
研究概要

1)溶血性尿毒症症候群(HUS)症例の検討:HUS症例、非HUS症例について血漿のサイトカインについて精査した。その結果、HUS症例では、非HUS症例より有意に血中IL-8や顆粒球エラスターゼが高値であることがわかった。顆粒球(好中球)活性化が惹起されていることが示唆された。
2)好中球の活性化がHUSの発症や進展に関与していることが示唆されたので、ベロ毒素(VT)による好中球活性化の可能性について、ヒト血液の顆粒球画分におけるサイトカイン産生、接着分子の発現を検討した。すなわち、健康成人のヘパリン加血液に、リコンビナントVT1、VT2またはLPSを加えた37℃で4時間培養し、サイトカイン産生、接着分子発現をフローサイトメーター(FACSCalibur、Becton Dickinson)を用いて検討した。その結果、VT1やVT2は顆粒球画分と単球画分でのCD11bまたはCD18の発現をLPSと同様に促進した。特にVT2の活性が強かった。LPSがCD33(dim)とCD33(bright)の蛍光強度を増加を増加させるのに対して、VT1やVT2はCD33(bright)でのCD33の蛍光強度のみを増加させた。サイトカインについてはVT1やVT2添加で、顆粒球画分で強いIL-1ra、IL-8、IL-6、TNF-α産生が認められた。このようにVT1や特にVT2は全血培養で単球のみならず好中球を直接活性化していることが示唆された。さらにベロ毒素に対する受容体(CD77,Gb3)が存在するかを検討したところ、顆粒球、単球画分にベロ毒素が結合することがフローサイトメーターで明らかになった。ベロ毒素は顆粒球にも結合して活性化することを世界で初めて明らかにした。ベロ毒素に結合した好中球が標的臓器に侵入して、好中球の活性化による臓器不全が起こるという当初の考えが支持された。HUSの治療法には決定的なものはないが、この研究は新しい治療法創案の基礎的知見を与えた。

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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