研究初年度に引き続きマクロファージの微生物認識応答におけるScavenger receptorの関与をScavenger receptor knock out mouseマクロファージならびにScavenger receptor特異抗体を用いて詳細に検討した。マクロファージを酸化LDLで刺激するとケモカインであるMacrophage inflammatory protein 1(MIP-1)ならびにMIP-2が強く誘導されたのに対し、他のケモカインであるMCP-1やLymphotactinの誘導は認められなかった。Scavenger receptor class A type I/IIに対する特異モノクローナル抗体(2F8)でマクロファージScavenger receptorを阻害した後、酸化LDLで刺激するとMIP-1およびMIP-2両方の誘導が著しく低下した。他のClass A scavenger receptorであるMARCO(macrophage receptor with collagenous structure)に対する特異抗体による同様の実験ではMIP-2の低下が見られたがMIP-1は影響を受けなかった。2F8を結合させたラッテックス粒子でScavenger receptorを選択的に刺激するとMIP-1ならびにMIP-2両者が誘導された。さらにScavenger receptor class A type I/II knock out mouseマクロファージを用いて酸化LDLによる刺激を試みるとMIP-2が誘導されたがMIP-1の誘導は認められなかった。これらの結果よりScavenger receptor class A type I/IIはケモカインMIP-1の誘導に関与しており、MIP-2の誘導にはScavenger receptor class A type I/II以外のMARCOを含めた他のScavenger receptorが関与していることが示唆された。このような結果は研究初年度に明らかにされたマクロファージの微生物認識応答におけるScavenger receptorの選択的関与を裏付けるものである。
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