研究概要 |
これまでに、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)ないしはヒト単球を用い、ECPでこれら細胞を刺激し、転写因子、NF-κBの活性化を蛍光抗体法とゲルシフトアッセイで検討すると共に、培養上清中に出現するIL-1,IL-6,TNF-αをELISA法で測定し、またmRNAの発現を定量的RT-PCR法で測定してきた。引き続き以下の実験が行われた。 ECP並びにECPをDEAEカラムクロマトグラフィーを用い、食塩濃度勾配法により得られた各分画は単球、単球由来マクロファージに対しNF-κBの活性化、核移行を誘導し得なかった。しかし、ECP並びにDEAEによる分画の内、Fraction 3〜7と9はNF-κBの活性化を介さずにTNF-αなどの炎症性サイトカインを誘導した。一方、菌体表層からフェノール抽出したリポタイコ酸(LTA)は単球、単球由来マクロファージにNF-κBの活性化をもたらしたが、高度に精製したLTAでは活性化されなかった。なお、A群レンサ球菌から抽出されたペプチドグリカンはNF-κBの活性化を誘導した。 S.mitis死菌体での単球、単球由来マクロファージ刺激により、NF-κBの活性化、核移行を誘導し、引き続いてIL-1α,IL-1β,IL-6,TNF-αがメッセージのレベルで確認されると共に、上記のサイトカインが培養上清中に認められた。しかし、この死菌体はHUVECに対しNF-κBの活性化、サイトカインの遊離のいずれも認めることは出来なかった。
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