研究概要 |
細菌性ホスフォリパーゼC(PLC)の構造と機能を明らかにするため、ウエルシュ菌α毒素(370残基)のN-domain(Ncp,250残基)とC-domain(Ccp,120残基)、ビフェルメンタンス菌PLC(CbPLC,372残基)のN-domain(Ncb,250残基)とC-domain(Ccb,122残基)、そして、セレウス菌PLC(BcPLC)のN-domain(Nbc,245残基)を組み合わせたNcpCcb、NcbCcp、NbcCcp,NbcCcbのハイブリッドPLCを作製した。Ncpは、α毒素の4%のPLC活性を有していたが、溶血活性は示さなかった。NcpCcbのPLC活性は、α毒素より低くNcpより高かった。NcpCcbの溶血活性は、ヒツジとウサギの各赤血球に対してα毒素の約0.5と30%であった。CbPLCのPLC活性は、α毒素の約10%で溶血活性はほとんど示さなかった。一方、NcbCcpの溶血とPLC活性はα毒素と同様の活性を有していた。NbcCcpはウサギ赤血球に対して溶血を示したが、ヒツジ赤血球に対しては示さなかった。しかしながら、BcPLCとNbcCcbは、溶血活性を全く示さなかった。さらに、赤血球膜への結合を検討したところ、NcbCcpとNbcCcpは、強く結合したが、CbPLCとNbcCcbは弱く結合し、NcpとBcPLCは結合しなかった。以上の結果から、α毒素のC-domainは、細胞膜への結合とN-domainの酵素活性に重要であると考えられる。
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