研究課題/領域番号 |
10670281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
余郷 嘉明 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60092376)
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研究分担者 |
原 和矢 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (60164993)
北村 唯一 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (70010551)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | JCウイルス / PML / PCR診断 / 調節領域 / 塩基配列の再編成 / 髄液 / 中枢神経系 |
研究概要 |
1.我々は、調節領域をターゲットとしたnested PCR法を用いて、脳脊髄液(CSF)からJCV DNAを検出するサービスを行い、35症例中8症例からユニークな再編成型調節領域を検出した。JCV陽性の患者の基礎疾患は、エイズが最も多く、次いで、治療のため免疫抑制剤が投与される骨髄移植患者やSLEが多かった。 2.数例については追跡調査が行われた。ある症例では5ヶ月間、JCV DNAが検出され続けたが、その後検出されなくなった。発症後1年以上経過するが、病態は安定している。別の症例においては、神経症状が出現してから約1ヶ月からJCV DNAは検出され始め、2ヶ月と3ヶ月には高率に検出された。しかし、4ヶ月からは検出率が著しく低下した。この患者を現在追跡調査している。以上のごとく、CSF中のJCV DNAの消失と患者の長期生存との関連が示唆された。 3.我々が検出したPML型調節領域の構造は極めて多様であった。domain Aの重複とdomain Bの欠失を持つ調節領域は検出された調節領域の1/4〜1/3にすぎず、それ以外の構造を有する調節領域が数多く検出された。欠失や重複が何回も起きた調節領域、欠失だけを持つ調節領域などが検出された。欠失はdomain B以外のいろいろな領域で起きていた。 4.我々は、患者におけるJCV DNAの動態に関するデータを収集することを始めた。生前にPMLと診断された2名の患者(K1、K2)の剖検組織を調べる機会を得た。患者K1では、中枢神経系に存在した、様々な調節領域を持つJCVのうち、リンパ球向性のJCVが末梢リンパ球に感染したことが示唆された。長期生存した患者K2では、JCV感染の拡大が2元的に起きたことが示唆された。
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