研究概要 |
1.HHV-7に対する単クローン抗体(Mab)の作成と性状の解析: 免疫沈降法にて抗原が同定された13個の抗HHV-7特異的MAbは、認識ポリペプチドの分子量により5群に分類された(125kDa,120kDa,78kDa,48kDa,40kDa)。このうち120kDa,78kDa,40kDaはリン酸化蛋白であった。これら各リン酸化蛋白をコードする遺伝子の同定を試み、Mab(TK17)が認識する40kDaのリン酸化蛋白は、HHV-7 U27の遺伝子産物であることを明らかにした。HHV-7の125kDaの後期抗原を特異的に認識するMab(Tx3)とHHV-6の135kDaの後期抗原を特異的に認識するMab(TK2)と併せ用いることにより、HHV-6とHHV-7の増殖をドットプロット法により比較検討することができた。 2.ドットブロット中和抗体測定法の開発とHHV-6およびHHV-7の血清疫学: 今回確立した96穴プレートを用いるドットプロット中和法は、浮遊培養系のHHV-6およびHHV-7の中和抗体測定法として、簡便で客観性、再現性に優れている。この方法で調べたところ、抗HEV-7中和抗体価は成人の全年齢層を通して高値で維持されていた。対照的に抗HEV-6中和抗体価は若年層では比較的高値であるが、成人では低値に移行した。経時的に採取した小児血清を用いた解析では、蛍光抗体法などに比べて両ウイルス間の交差反応性をほとんど認めない本法を用いることにより、明確に抗体陽転の時期を特定できた。とくに両ウイルスの初感染時期に関して、母親からの移行抗体が比較的高値で維持されるHHV-7に比べて、似値のHHV-6は移行抗体の消失時期にともなって早期に感染が起こることが示された。
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