体内に潜伏する水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化病変である帯状疱疹の生検例を、患者の同意の元に解析を行い、水痘帯状疱疹ウイルスの前初期遺伝子産物と後期遺伝子産物の発現を経時的に解析した。具体的にはすでに作製していたVZVの前初期遺伝子UL61ならびにUL63産物に対する抗体を作製し、免疫組織化学的に帯状疱疹の皮膚病変を解析した。その結果、帯状疱疹の早期病変である紅斑期の真皮上層の血管周囲に浸潤するリンパ球の核がUL63産物に対する抗体で陽性となり、従来の方法ではウイルスの局在を明らかにすることができなかった紅斑期早期のウイルスの局在を明らかにすることができた。また、これらの細胞はin situ hybridization法によっても陽性となった。リンパ球表面マーカーの検索ではこれらの細胞はT細胞であった。このことより、帯状疱疹の皮膚病変においてVZVが一過性にT細胞に感染し、宿主の免疫応答に影響をおよぼしていることが示唆された。今後、この免疫応答と、末梢神経内でのこの抗原の発現を検索し、神経病変とくに、脱髄との関連を明らかにする予定である。
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