研究課題/領域番号 |
10670300
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 雅一 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40211479)
|
研究分担者 |
湊 長博 京都大学, 医学研究科, 教授 (40137716)
影山 龍一郎 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80224369)
|
キーワード | HES1 / T細胞初期分化 / double negative / Notch / TCR非依存性増殖 |
研究概要 |
ショウジョウバエにおいてNotchシグナル系の下流エフェクター分子として同定されているbasic heLIx-loop-helix(bHLH)型転写因子hairy(h)and Enhancer of split[E(spl)]の哺乳類ホモログであるHESl遺伝子破壊マウスのT細胞初期分化について、以下の点を明らかにした。 1. HESl(-/-)マウスの大部分において胸腺欠損が観察された。また、胸腺形成が認められた場合にも、正常マウスに比べ明らかに胸腺の形成が不完全であり、その不完全胸腺内には成熟T細胞は存在しなかった。 2. HESl(-/-)マウスの胎児肝細胞を成熟リンパ球を欠くRAG2(-/-)マウスに接種し、生体内におけるリンパ球分化を解析した。その結果、B細胞は正常に分化するのに対し、T細胞はCD4-CD8-のdouble negative stageにおいて分化が止まっていた。これはT細胞抗原レセプター(TCR)非依存性に起こる未分化T細胞の増殖ならびにそれに引き続いて起こるTCR依存性増殖が起こらなかったためであることが示唆された。 以上の結果からHESlはT細胞初期分化過程における増殖制御に関わる分子であることが示唆された。この増殖制御機構に関し、今後細胞レベルでの詳細な解析を行っていく予定である。
|