研究概要 |
1.BST-1の2型コラーゲン誘発関節炎(IICA)における役割:DBA/1Jに8回戻した交配した可溶性BST-1トランスジェニックマウスS15(n=6,血中可溶性BST-1濃度平均43±13μg/ml)および野生型マウス(n=8)を用い,不完全フロイントアジュバントとウシ2型コラーゲン100μgを免疫した。S15の発症およびその増加は、野生型に比べて約1週間先行したものの最終的な発症率と重症度に有意差を認めなかった。一方、DBA/1Jに5回戻し交配したBST-1欠損マウス(n=15)のIICA発症率の進展も野生型マウス(n=13)より先行する傾向が認められた(8週目で、BST-1欠損マウス100%、野生型マウス69%)が、重症度に有意差は認められなかった。IICAの病態にBST-1は重要な役割を持たないと考えられた。 2.BST-1/CD38二重欠損マウスの作成:CD38とBST-1両遺伝子を欠損したES細胞クローンを選別し、キメラマウスを得た。F1世代の遺伝子解析の結果、同一アリルのBST-1とCD38の欠損とそのgerm line transmissionが確認された。現在、F1世代の交配により、BST-1とCD38遺伝子欠損のホモ接合体を作製中である。 3.受容体機能:BST-1遺伝子導入プロB細胞株mBST-1BAF表面のBST-1をモノクローナル抗BST-1抗体で架橋することにより、細胞凝集が認められた。BST-1からのシグナルが細胞接着を誘導することが示された。 4.BST-1リガンド:BST-1を結合するB細胞株由来のcDNAライブラリーを調整し、発現クローニング法により、2万クローンのスクリーニングを行ったが、ヒトBST-1リガンドのcDNAは得られなかった。
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