研究概要 |
(1) ETSファミリー転写因子のDNA結合ドメイン蛋白の作製とDNA結合能の検討 成熟個体の胸腺よりETSファミリーの遺伝子を検索して、Ets-1,Ets-2,GABPα,Fli-1,PEA3及び新規のETSファミリー3種の発現がみられた。これら胸腺特異性ETSファミリー転写因子のDNA結合ドメインをコードする遺伝子断片を大腸菌発現系pGEX5ヴェクターにGST融合蛋白を形成させる様組み込んだ。この過程で、使用しているヴェクターのアンピシリン耐性遺伝子プロモーター領域と誘導発現装置lacI^qとにCCGGAAGのEts結合モチーフを見いだした。これが、いままでのクローニングに正負どちらに作用したかを判定するために、このモチーフを消去したヴェクターを作製し、このモチーフの有無の影響を検討中である。Ets-1蛋白で、ゲル・シフト法でDNA結合能を測定した。他のETSファミリー遺伝子のDNA結合部位も、検討中である。 (2) ETSファミリー転写因子の使い分けの検討 成熟個体の胸腺よりえたETSファミリーの遺伝子は、胎児胸腺由来γδTハイブリドーマで発現は見られず、懐妊15.5日目の胎児の胸腺にも発現していない。成熟個体の胸腺では、ETSファミリーの遺伝子中Ets-1が16、Ets-2が12、GABPαが12、他が6の出現頻度であったのに対し、V_<γ4>遺伝子を発現する成熟個体胸腺由来ハイブリドーマ株KN6では、過半数がGABPαと、発現の偏りを示していた。この偏りにどの程度ヴェクター由来のバイアスがあるか、再検討を要するが、更に、lacI^qプロモーター領域のモチーフを逆用して、ETSファミリー遺伝子を正に選択する発現ヴェクターをも作製したので、確認する。
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