生物性免疫の主役を演ずる 細胞性免疫の主役を演ずるαβT細胞の発達分化や生体内生理学機能がよく解明されているのに対し、γδT細胞についてはよく分かっていない。マウス腸管の上皮細胞層には多数の腸管上皮細胞γδT細胞(γδ-IEL)が分布し、上皮細胞の発達分化を性の方向に制御することを明らかにした。次にγδ-IEL前駆細胞が発達分化する新しい腸管粘膜リンパ組織クルプトパッチ(cryptopatch;CP)を同定することに成功し、CP内でIEL特有のCD8ααおよびαEβ7 integrinの発現が決定されること、CD4ε鎖の転写やT細胞レセプター(TCR)遺伝子の再構成が進行することを明らかにすることができた。 一方、TCR-TCR-α^<-1->(α^<-1->)マウスはTCR-β^<-1->(β^<-1->)マウスと比較して極めて高頻度に炎症性脹疾患(IBD)を発症する。16週令頃より、体重減少、下痢及びしばしば脱肛が認められ、大腸粘膜の著しい肥厚とリンパ球浸潤を伴うが、小腸は比較的正常に保たれている。WTマウス小腸に分布するαβ-IELとγδ-IEL(γδ-IELでは系統差が見られる)は共にin vitroで細胞傷害(CTL)活性を発揮し、IFNγ産生する。WTのIEL(ほぼ同数のαβ-IELとγδ-IELが存在する)、β^<-1->のIEL(γδ-IELのみ存在する)及びα^<-1->のIEL(極めて少数のββホモダイマーを発現するIELと多数のγδ-IELが存在する)のγδ-IELに的をしぼってIBD発症以前の8週令マウスから20週令マウスまでのCTL活性とIFNγ産生を追求した。β^<-1->マウスγδ-IELの両機能はWTマウスγδ-IELに比べて著しく低下するが、α^<-1->マウスγδ-IELの両機能は逆に著しく亢進することが判明した。大腸γδ-IELについても同様の知見が得られたことより、α^<-1->マウスのγδ-IEL機能亢進はIBD発症の起因となることが提示された。無菌α^<-1->マウスはIBDを発症しないことに着目して、各種ノートバイオートα^<-1->マウスのγδ-IEL機能とIBD発症を追究中である。
|