B細胞による抗体遺伝子の体細胞突然変異がおこる機構の解明をするために、in vitroでの体細胞突然変異の系の樹立を試みた。今までの報告から、バーッキト白血病細胞または免疫B細胞を用いれば、活性化T細胞と抗原で、体細胞突然変異がおこることがわかっているが、初めのB細胞の活性化の段階に何が重要か不明であり、in vitroでの体細胞突然変異の設立に成功したグループはない。我々は、まずin vivoの免疫B細胞の解析をした。抗原特異的なB細胞を検出する鋭敏な試薬を作製し、それを用いて解析すると、今まで報告されていたよりも多くの抗原結合B細胞が増加しているのが判った。また、免疫B細胞で、CD19が、変化することを観察した。このCD19の変化が、B細胞の初期の活性化の段階に重要な要因と考え、in vitroでのこの変化がおこる条件を検討した。次に、ヘルパーT細胞株として作成した、allo-reactive T細胞のlineと、初期の活性化に必要なシグナルを与えたB細胞(C57BL/6マウスrestingB細胞をCD19の変化おこる条件でNP抗原と前処理)とを培養し、ex vivoまたは、in vitroの免疫で、抗体VH186.2遺伝子に、体細胞突然変異の起こる頻度を解析した。CD19のシグナルを介したB細胞は特に、培養後、体細胞突然変異を獲得したと考えられる塩基配列変異がみられた。また、抗原特異的なB細胞を検出する鋭敏な試薬により、in vitroの培養免疫系で、抗原特異的なB細胞の増加が観察された。Naturally occurring somatic mutationとの区別が難しいが、これらの結果は、今まで誰も成功していないin vitroの体細胞突然変異の系が確立できたことを示唆している。現在、解析数を増やして確かめ、in vitroでの詳しい解析をこれを使って行う予定である。
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