研究概要 |
新生ラット1-3日齢をエーテル麻酔し、無菌的に海馬を取り出し、組織をコラゲナーゼ、トリプシン処理分散した後、別々のペトリ皿にまきCO2インキュベータで培養した。ペトリ皿には予めポリリジン処理した後、5mm四方のカバーグラスを敷いておき、培養1日から5日までのあいだにこのカバーグラスを取り出し実験を行った。ホールセル記録を行うには、倒立顕微鏡(TMS-14A)で、細胞を観察し、マイクロマニピュレーター(既存)で電極を細胞に近づける。ホールセルクランプ用増幅器(CEz-2400)をもちい、膜電位を固定し、薬物投与で得られた電流をDATレコーダ(既存)およびコンピュータに取得し、解析した。(Meclab/2e,Axograph,Axodata)。 実験は室温で行う。Cl-電流を測定するため、細胞外液、細胞内液はナトリウム電流、カリウム電流が、生じないように、外液からナトリウムを除き、内液のカリウムをセシウムに置換した。 電極を海馬初代培養細胞に近づけ、接触したところでギガシールを形成し、細胞膜を破る。増場器で膜電位を-60〜70mVに固定し薬剤を投与する。薬剤を効果的に作用させるため、細胞から2-3mmのところにパフ投与を行う。まず、0.1〜10mMトリクロロエチレンを投与し、Cl-電流が流れるかどうかを調べた。次にGABAを含んだ潅流液を投与し、不活化されないうちにトリクロロエチレンを含む液を投与し、Cl-電流の変化を観察した。以上の実験に加えて、GABAレセプタに効果のある、ペントバルピタールなどの中枢神経作動薬を加え、トリクロロエチレン存在下の変化を検討した。以上のことからトリクロロエチレンが海馬初代培養細胞においてカルシウム及びクロルチャンネルに影響を与えることを発見した。
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