研究概要 |
交付時期遅延のため、平成11年3月現在において当初予定の3項目のうち1項目の結果につき報告する。 0.02から0.50%のホルムアルデヒド水溶液を麻酔下でマウスに1回から5回点鼻投与し、気管および肺にどのような影響を及ぼすかを調べた。その結果、0.02%では病理所見上明らかな変化は認められなかったが、0.10%の3回および5回投与では気管粘膜上皮の線毛が減少する傾向が認められ、0.50%では回数の増加に従って増大する好中球、リンパ球およびマクロファージなどの炎症細胞の浸潤が認められた。肺では気管支で同様の変化が認められたが、終末細気管支から肺胞にがけては明らかな変化はなかった。最終投与翌日の気管支肺胞洗浄液中のサイトカインはIL-4,6,8,IFN-gammaいずれもが0.50%投与群において上昇しており、この上昇は投予回数の増加すなわち炎症の強さに一致するものであった。病理的に炎症反応が認められなかった0.10%以下の曝露ではサイトカインの明らかな上昇を認めなかった。また、血液中の総lgE濃度は各濃度群において統計学的に有意な差は認められなかった。 これの結果を踏まえ、各濃度のホルムアルデヒドと卵白アルブミンの同時曝露を行い、ホルムアルデヒドによる上気道の炎症反応が卵白アルブミンによる感作にどのような影響が認められるかについての実験を現在実施中である。
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