研究概要 |
平成10年度 1. アリルアミン代謝に関与する抱合体酵素sulfotransferase(以下ST)の分子種うちSULT1A1の遺伝子多型(Arg213His,Met223Val)を日本人(143名)で初めて分析した。Arg213Arg Arg213His His213His多型の割合は、69.2%、28.0%、2.8%であり、Met223Valの遺伝子多型に関しては、Valalleleをもった個体は存在しなかった。 2. STと同様アリルアミン代謝に関与する抱合体酵素N-acetyltransferase(以下NAT)1遺伝子多型とその表現型との関連性について検討した。その結果、NAT1 PolyA siteの遺伝子多型であるNAT1^*10 typeの白血球の酵素活性はWild type(NAT1^*4)と比較し高い傾向がみられた。 3. Benzo(a)pyreneの代謝に関与する、Glutathione S-transferase(GST)M1、P1、ハロゲン化メタンを代謝するGST T1、アリルアミン代謝に関与するNAT2の4つの薬物代謝酵素の遺伝子多型と尿路上皮癌感授性、喫煙との関連性を分子疫学的に解析した。その結果、GSTM1とNAT2遺伝子多型が尿路上皮癌発症の遺伝要因であること、そして、これらの遺伝子と喫煙との相互作用が、尿路上皮癌発症に重要であることが示された。 4. 検診機関より情報収集を行い、トリクロロエチレン作業現場を選定した。
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