アレルギー性疾患が実験小動物の呼吸器に及ぼす影響に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10670334
• 研究機関: 国立公衆衛生院
• 研究代表者: 荒川 はつ子 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 主任研究官 (90222736)
• 研究分担者: 熊江 隆 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 室長 (40145363) ; 内山 巌雄 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 部長 (20151897)
• キーワード: Brown-Norwayラット / アレルギー性疾患 / 鼻腔抵抗 / スギ花粉特異IgE / スギ花粉症 / 性周期

研究概要

最近のアレルギー性疾患の急激な増加に対して発症機序等に関する研究は数多く行われているが、症状として訴えの多い鼻水、鼻詰まり等の上部気道における生理学的な影響について実験小動物を用いた検討は殆ど行われていない。そこで、前年度はアレルギー性疾患モデル(Brown-Norway(BN))ラットを用いて、アレルゲンの効率的な投与方法及び投与量等について検討した。
本年度はアレルギー性反応に高い感受性を示すBNラットの雌性を用いて、スギ花粉抗原(cryj-1)投与群、生理食塩水投与群および対照群の3群に分けて鼻腔内圧と鼻汁量を測定した。同時に膣スメアを採取して、アレルゲン感作の効果と性周期との関係についてもより詳細に検討し、鼻汁量と鼻腔圧は異なった機序である可能性が示唆された事を第10回体力・栄養・免疫学会(青森)で発表した。また、前年度まで測定した雄性ラットのデータとあわせて雌雄ラットの比較を行い、アレルギー性症状の指標としての鼻腔抵抗値について検討した。その結果、雌のスギ花粉投与群の鼻汁量及び鼻腔圧が、生理食塩水投与群及び対照群に比して高値を示した。アレルギー反応の生理学的検討への雌性の有用性が示唆された事を第55回体力医学会(富山)で発表した。

研究成果

• [文献書誌] 荒川はつ子: "アレルギー性疾患が実験小動物の呼吸器に及ぼす影響,第8報.アレルゲン投与による鼻腔抵抗値に及ぼす感作雌性ラットの性周期の影響"第10回体力・栄養・免疫学会. 第10巻第2号. 143-144 (2000)
• [文献書誌] 荒川はつ子: "アレルギー性疾患が実験小動物の呼吸器に及ぼす影響.第9報 スギ花粉抗原感作ラットの鼻腔抵抗値における雌雄差の検討"体力科学. 49(6). 724R (2000)
• [文献書誌] 荒川はつ子: "スギ花粉症発症に及ぼす運動の予防的効果に関する研究.第1報 気管支肺胞洗浄液中の細胞数の変化"第41回大気環境会年会講演要旨集. 406 (2000)
• [文献書誌] 熊江隆: "スギ花粉症発症に及ぼす運動の予防効果に関する研究.第2報 運動負荷ラットの細胞マクロファージ活性の変化"第41回大気環境会年会講演要旨集. 407 (2000)
• [文献書誌] Takashi KUMAE: "Age-related changes of cells in bronchoalveolar lavage fluids in Brown Norway rats."8th Biennial Meeting of the Transpacific Allergy and Immunology Society Final program. Syllabus & Abstracts. 221R (2000)
• [文献書誌] Takashi KUMAE: "Training effects on chemiluminescent response of alveolar macrophage in matured rats."11th International Symposium on Bioluminescence & Chemiluminescence Luminescence,. 15(4). 213L (2000)
• [文献書誌] Takashi KUMAE: "Effects of physical activities on cells in bronchoalveolar lavage fluids in Brown Norway rats."XVII International Congress of Allergology and Clinical Immunology Abstracts. 111L (2000)