研究概要 |
本年度の研究で下記の結果をえた。 1. 研究地域での1986-1994年の全大腸がん罹患例1145例について、当初の計画のエンドポイントをのばして1998,1,1時点における生存状況をがん登録、死亡小票、地域の協力によって調査した。死亡は600例でうち501例は大腸がん死亡と診察録で確認しえ、更に31例が大腸がん死亡と推定された。他に68例の死亡例があり、他病死と確認あるいは推定された。以上の不明例についてさらに診療録調査を継続中である。 2. 1992-96年の青森県全域での大腸がん罹患例は3159例で、うち388例が検診発見例(Sc群)であった。これらの病期の分布はstageO+IがSc群で64%、臨床診断例(Ho群)で28%(P<0.0001)とSc群で高かった。一方、stageII-IVではいずれもHo群で割合が有意に高く (P<0.0005)、とくにstageIVでは差が大きかった(1%vs13%)。組織型では低分化型のがん、粘液がんおよび印環細胞がんの合計の割合に差があったが両群の予後の差を説明するものではなかった。 3. 全罹患例1145例中、年齢等の理由で大腸がん検診の受診チャンスのない例を除く1053例中、さらに診断日や死亡日あるいは発見動機の不明なものを除く1005例の受診歴から、偽陰性の定義を陰性のスクリーニング結果から3年以内の診断がんとすると、感度は66%であった。 4. 大腸がんの病期別治療費を弘前大学医学部附属病院の入院患者229例から求めた。stageI-Vでの平均費用はstageと共に137,828点から270,253点に増大した。 以上求めたパラメータと各市町村の人口構成や、大腸がん罹患例の診察録調査により確定した予後データを用いて、大腸がん検診の費用効果分析を平成11年度に行い結果をだす。
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