都内在住の男子大学生で入学時健康診断を受診した者のうち、4年次の定期健康診断を再度受診した125名(追跡率125/170=74%:4年次平均年齢22.3歳)を対象とし、入学時から4年時にいたる3年間の食習慣を中心としたライフスタイル、および動脈硬化性疾患危険因子のうちの体脂肪率、血圧、血清脂質・脂肪酸および血漿フィブリノーゲン(FIB)の変化について、同一コホート内での検討を行った。 4年次においては、1年次と比べて朝食を抜く者(83% vs 58%)、外食する者(82.% vs 70%)の割合が有意に増加した。また4年次においては1年次と比べて魚介類、野菜類、乳製品、卵の摂取頻度が有意に減少し、油脂類の摂取頻度は有意に増加した。また常用飲酒者(85% vs 61%)および喫煙者の割合(58% vs 30%)は4年次に有意に増加した。動脈硬化性疾患危険因子のうち、体脂肪率(19.3% vs 18.6%)、最大血圧(117.9mmHg vs 115.6mmHg)および最小血圧(66.9mmHg vs 62.5mmHg)、血漿FIB(240.1mg/dl vs 221.8mg/dl)について、4年次は1年次と比較して有意な上昇を認めた。血清脂肪酸構成については飽和脂肪酸および一価不飽和脂肪酸の構成割合の有意な上昇、多価不飽和脂肪酸の構成割合(n3系多価不飽和脂肪酸、n6系多価不飽和脂肪酸ともに)有意な低下を認めた。さらにn3/n6比は4年次で1年次と比較して有意な低下を認めた。 以上の結果から男子大学生においては、循環器疾患予防の観点よりみて4年次は1年次と比較して、食習慣、ライフスタイルの悪化を認め、特に魚介類の摂取頻度の低下と連動した血中n3系多価不飽和脂肪酸の構成割合の低下を認めた。また食習慣を含めたライフスタイルの悪化がいくつか動脈硬化性疾患危険因子の増大に反映している可能性が示された。
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