都内在住の男子大学生で入学時健康診断を受診した者のうち、4年次の定期健康診断を再度受診した125名を対象とし、入学時から3年間の食習慣を中心とした生活習慣、および動脈硬化性疾患危険因子の変化について、同一コホート内での検討を行った。さらに対象学生の一部は約3ヶ月の長期航海実習を義務づけられており、この航海に参加した男子学生を対象にした航海実習中の食習慣・生活習慣と動脈硬化性疾患危険因子の変化についても同様の調査を実施した。 4年次においては、1年次と比べて朝食を抜く者(83%vs58%)、外食する者(82%vs70%)の割合が有意に増加し、魚介類、野菜類、乳製品、卵の摂取頻度が有意に減少、油脂類の摂取頻度は有意に増加した。また常用飲酒者(85%vs61%)および喫煙者の割合(58%vs30%)は4年次に有意に増加した。動脈硬化性疾患危険因子のうち、体脂肪率、最大血圧および最小血圧、血漿FIBについて、4年次は1年次と比較して有意な上昇を認めた。血清脂肪酸構成については飽和脂肪酸および一価不飽和脂肪酸の構成割合の有意な上昇、多価不飽和脂肪酸の構成割合(n3、n6系多価不飽和脂肪酸ともに)の有意な低下を認めた。また長期航海実習前後の生活習慣・動脈硬化性危険因子の変化については、船内の規則正しい献立管理による朝食摂取回数の増加、魚介類、肉類、油料理、野菜類等の摂取頻度の増加を認め、同時にHDL-cholの増加と血漿FIBの減少を認めた。 男子大学生においては、循環器疾患予防の観点よりみて4年次は1年次と比較して、食習慣、ライフスタイルの悪化を認め、それが動脈硬化性疾患危険因子の増大に反映している可能性が示された。さらに航海実習中の食習慣の改善によって動脈硬化性危険因子が減少する可能性が示された。
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