研究概要 |
平成10年のAcarboseの研究に続いて、国内で使用されているもう一種類のα-グルコシダーゼ阻害剤Voglibose(ボグリボース)について検討した。雄性SDラットを4群に分け(1群15尾)、それぞれに0,2.5,5,10mg/100g dietのボグリボースを粉末食に混じて与えた(ラットの1日当たり平均摂食量は約20gで、ボグリボース投与量はそれぞれ約0,1.5,3,6mg/kg BW/dayであった。)。この粉末食を3週間投与した後、1群5尾を屠殺し、肝のglutathione(GSH)含有量、CYPおよびCYP2E1を測定した。残りのラット(各群10尾)に0.5g/kgのCCl_4を経口投与し、24時間後に血漿のALT(GPT)とAST(GOT)の活性および肝のGSH含有量を測定した。その結果、3週間のボグリボース(10mg/100g diet)投与によって肝CYPとおよびCYP2E1がで有意に増量したが、肝GSHの変化は認められなかった。ボグリボース投与群ではCCl_4により、血漿のALTとASTの活性がボグリボース非投与群に比べて有意に上昇した。これはボグリボースによる酵素誘導がCCl_4の肝毒性の増強をもたらしたことを意味する。また、ボグリボースの投与量とCCl_4の肝毒性の間には、量-影響関係が認められた。本研究の結果、ボグリボースは、糖質の吸収を抑制することによって、酵素誘導を起こし、CCl_4の毒性に影響を与えることが示した。
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