本年度は、調査票の作成、103名の閉経後女性における栄養・生活習慣の調査およびエストロゲン、インスリン抵抗性の測定のための血液採取を行った。現在これらのホルモン値の測定中である。本研究では、栄養面の評価の一つとして、植物エストロゲンを含む大豆製品摂取と女性ホルモンおよびインスリン抵抗性の関連性に注目しているが、本年度は、大豆製品摂取とエストロゲン低下に伴って見られる閉経期の症状との関連性を評価した。対象は閉経前後40-59歳の女性とし、上述の血液採取対象となった閉経後女性に加え、閉経前女性にも栄養・生活習慣の調査を行い、計284名の女性から大豆製品摂取と閉経期症状の情報を得た。クッパーマン指数を用い閉経期にみられる11症状についてその程度をスコア化し評価した。年齢と閉経状態で補正後、クッパーマンの合計スコアと大豆製品摂取量との間に有意な相関関係は認められなかったが、特にエストロゲン変化が引き起こすとされている‘ほてり'の症状の程度と大豆製品摂取量との間に負の相関が見られた。ほてりを訴える女性の大豆製品摂取量は他の女性に比べ15%低かった。また、これらの関連性は、大豆製品のうちでも植物エストロゲンの活性が高いと示唆される味噌、納豆の発酵大豆製品において強かった。本データは、植物エストロゲンを含む大豆製品がエストロゲン様作用を有し、閉経期に特徴的なほてりの症状の緩和に働くという仮説を支持している。
|