研究概要 |
原爆被爆者集データベースに基づいた血清コホートを用いた、ネスティド・ケース・コントロル研究により、癌のはっせい機序を解明することが目的。問診票などにて生活習慣、既往歴、身体状況などを採取。10年間の追跡にて、発癌者、癌死亡者1,523人把握した。 それらの対象者のうち血清と問診票の双方があるものに対して凍結保存血清を用いて6種類の血清癌マーカを測定した。症例に対して複数の対照者を年齢2歳以内の変動を許し、性をマッチングして抽出した。その結果は、症例として胃癌患者15例(男6例、女9例)その対照者57例(男21例、女36例)であった。大腸癌19例(男5例、女14例)、対照者71例(男18例、女53例)、肺癌6例(男3例、女3例)、対照者22例(男10例、女12例)であった。条件付き比例ハザードモデルを用いた解析では、生活習慣、既往歴などの要因は欠損値が多く解析に耐えられなかった。癌マーカでは、CEAとヘリコバクターピロリの感染が胃癌に対しては危険要因として、大腸癌に対しては、CEAはどちらかという対照群に異常値のものが多い結果となった。ヘリコバクターピロリ感染は大腸癌にも危険要因であった。血清コホートの観察は継続してなお行っており、さらに症例が増加してからさらなる解析を行う予定である。
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