研究課題/領域番号 |
10670354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清原 裕 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (80161602)
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研究分担者 |
城田 知子 中村学園大学, 短期大学部, 教授 (80069781)
中島 豊 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50135349)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 高インスリン血症 / インスリン抵抗性 / 高血圧 / 耐糖能異常 / 脂質代謝異常 / アルコール / 虚血性心疾患 / 腎機能 |
研究概要 |
1988年に、福岡県久山町の住民検診で75g経口糖負荷試験を受けた満40-79歳の住民(受診率80%)の断面調査および追跡調査の成績より、以下の検討を行った。 1)この集団の腎不全のない者を対象として、腎機能(1/血清クレアチニン)と血清インスリン(INS)値(空腹時+2時間値)との関係を検討した。その結果、血清INS値は他の関連因子と独立して腎機能の有意な関連因子となった。2)この集団の非糖尿病者を対象として、血清脂質に与えるアルコールの影響がINS値を介するか否かを検討した。その結果、飲酒量の上昇とともにINS抵抗性は低下し、血清脂質値は改善することが示唆された。一方、血清脂質代謝に及ぼす飲酒の影響は、血清INS値あるいはISN抵抗性の改善を介さない別の機序によると考えられた。3)この集団の正常耐糖能者を前向きに追跡し、INS抵抗性の指標としての耐糖能異常の発症に及ぼす食事性因子の影響を検討した。その結果、男性で追跡開始時の飲酒が、女性で追跡期間中の飽和脂肪酸摂取量の増加が、非食事性因子と独立して耐糖能異常発症の有意な危険因子となった。4)この集団の非高血圧者の追跡調査において、高INS血症およびINS抵抗性が高血圧発症に及ぼす影響を検討した結果、両者は高血圧発症の独立した有意な危険因子となった。飲酒は高INS血症を改善する作用があり、高INS血症と高血圧の関係を修飾することが示唆された。5)60歳以上の高齡住民を5年間追跡し、追跡開始時の血清INS値およびINS抵抗性症候群が心血管病発症に及ぼす影響を検討した。その結果、女性で、高INS血症は虚血性心疾患発症の有意な危険因子となった。また、INS抵抗性症候群を構成する高INS血症、肥満、耐糖能異常、脂質代謝異常、高血圧の集積が虚血性心疾患のリスクとなった。 以上より、最近の地域住民では、高INS血症およびINS抵抗性が、心血管病とその危険因子の成因に密接に関連することが明らかとなった。
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