研究概要 |
前年度は、産業神経毒物によるneurofilamentous axonopathy(NA)の発生機序を明らかにする目的で、有機溶剤n-hexaneの代謝物である2,5-hexanedione(2.5-HD)による慢性中毒ラットの脊髄のニューロフィラメント(NF)蛋白質の燐酸化の程度について、抗燐酸化NF抗体を用いてた半定量的実験を行った。しかし、上記抗体のNFエピトープ部位が燐酸化された可能性があり、抗体の認識が必ずしもうまくいかなかった。そこで、今回は、中毒ラットではなく、コントロールラットの脊髄から細胞骨蛋白質を含む粗抽出液を調製した。これと、2,5-HDに加え、既知のNA惹起物質すなわち、アリルクロライド(AC)、二硫化炭素(CS_2)、アクリルアミド(AM)を用い、in vitroの系で24時間から7日間にわたって反応させ、適当な時間経過時に試料を作成し、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)で分離した。さらにイムノブロット法により細胞骨格蛋白室の架橋形成について検討し(至適時間、濃度など)、in vitro条件下における実験条件を設定した。 さらに、今年度は、次年度の研究にむけて、共同実験者と、マウス大脳皮質の神経培養の初代培養法の手技を確立すべく、第1薬理学教室の指導のもとにテクニックの確立に努めた。同時に、当教室での培養実験環境の整備をおこなっているところである。
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