植物性たんぱく質摂取とインシュリン等の関係について次の2つの研究により検討した。 研究1.通常持における血漿アミノ酸と血清インスリン、グルカゴン、コレステロール、そして体脂肪についての検討 卵乳菜食者(菜食群)と一般健常者(対照群)の30〜60歳代までのデータを統合し、年代別の検討を行った。、 血漿アミノ酸分画濃度のリジン/アルギニン比は各年代とも菜食群で有意に低かった。また、血中インスリン濃度は菜食群で30〜40歳代から既に有意に低く、グルカゴンは全体で有意に高かった。血糖値にも50〜60歳代に有意差がみられた。総コレステロール濃度は各年代とも菜食群で有意に低く、中性脂肪も低めであった。体脂肪はウエスト囲が各年代とも菜食群で有意に低く、ウエスト/ヒップ比に全体で有意差が認められた。年代が進むに連れて菜食者と一般健常者の血漿リジン、インスリン、血糖値などの差が顕著になり、それが体脂肪の分布状態にも反映している一連の関係が推測された。 研究2.動物性および植物性たんぱく質の1回投与後の血清インスリンとグルカゴンの反応についての実験的検討 20歳代の女性の卵乳菜食者(菜食群)と一般健常者(対照群)、各5名に600kcalのたんぱく質、炭水化物、脂肪からなる水溶物を早朝空腹持に投与した。たんぱく質の種類のみ動物性たんぱく質(カゼイン)、植物性たんぱく質(大豆たんぱく)、そしてたんぱく質を含まないものに変え1週間間隔で3回投与した。投与前、投与30分後、2時間後に採血した。 動物性たんぱく質が植物性たんぱく質よりも投与30分後のインシュリンのピークが高く、2時間後でも投与前の水準に戻りにくかった。また、インシュリンは菜食群で反応性が良く、特に植物性たんぱく質投与持にその違いが大きい傾向がみられた。グルカゴンはほとんど動きがみられなかった。血糖値の挙動にも両群に差はなかった。摂取たんぱく質はインシュリンの分泌に関与し、植物性たんばく質は動物性よりもインシェリン分泌こ対してマイルドであることが示唆された。
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