研究概要 |
本研究は、発がんのプロモーター様作用を示す物質に感作性を有する物質が多いことから、DNA損傷検出系では検出できないプロモーター様物質の検出系を構築する際に適切となる指標を得るために、感作性のある発がん物質に共通する特徴および指標となる変化を見いだすことを目的としている。 プロモーター様発がん物質としての特徴を良く揃えている物質としてヒ素を選び、それを用いて様々な実験を実施している。前年度の実験において、ヒ素による細胞変化はマイクロチュブルの凝縮に始まることを観察しており、本年度はその指標となるGTPascをアイソトープを使わないで感度良く測定する方法を報告した(Tohoku J.Exp.Med,192:67-79,2000)。現在、その方法を用いてヒ素の動態を観察した論文を作成し、投稿中である。 また、感作性発がん物質の一つにホルムアルデヒドがある。現在社会的に住宅内汚染が問題となっており、その原因物質としてホルムアルデヒドが考えられていることから、環境および医学的な面から実態調査を実施したが、症状とホルムアルデヒド濃度とは関連しなかったことを報告した(臨床環境医学10(1):in press,2001)。ホルムアルデヒドのヒトにおける感作性については、いろいろ議論があるところで、本年度は、これらの点を確認したく、さらに大規模な調査に参加した。現在データをまとめている段階である。
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