福岡県北部の1市1町の在宅介護サービス施設(社会福祉協議会、訪問看護ステーション、在宅介護支援センター)、施設介護サービス施設(特別養護老人ホーム、療養型病床群、特例許可介護力強化病院、老人保健施設)を対象にサービス利用者の基本属性(性、年令、家庭の状況、など)、主病名および要介護度(J、A、B、C)を調査した。また、各ケースについて在宅に戻る場合の介護計画を作成し、要介護度別・世帯構成別(家庭内に介護者あり・なし)に類型化を行った。その結果以下のような知見が得られた。 1) 在宅サービス利用と施設サービス利用との決定に関連する要因としては、痴呆の有無、介護者の有無が重要である。 2) 在宅サービスと施設サービスとが対象者の状況に応じて柔軟に提供されるためには、入所施設においてデイサービスあるいはデイケアが行われていることが重要であると考えられた。すなわち、必要な時に入所できること、同じスタッフが継続的に関与していることで利用者及びその家族の安心感が高く、結果として施設サービスと在宅サービスがバランス良く提供されることが示唆された。 3) 自立度が高く、入院・入所が不適切であると考えられる症例が、各施設で10%程度存在していた。これらの対象者について退院・対処できない理由を調査したところ帰るべき家が無いという者が施設によってばらつきはあるものの相当数存在していた。特に、低所得者層ではこの問題は深刻であった。このことは住宅対策を含めた高齢者福祉対策を行うことが施設サービスの適切化のために不可欠であることを示している。
|