北九州市及び近隣地方自治体の在宅要援護高齢者133名及び施設入所高齢者116名の合計249名の個別資料からケアプランを作成し、さらにそれを世帯状況別・状態像別に集計したものに、北九州市における要介護度別推計対象者数と厚生省が出している世帯状況別・状態像別対象者割合を適用することで、2000年における北九州市における在宅介護サービスの必要量を推計した。その結果、仮に利用率を40%とした場合でも、サービス量を大幅に増やす必要があること(訪問介護:30%増、訪問看護:100%増、通所介護:500%増)が示唆された。また、サービスの必要量は要介護度に加えて、家族の状況(独居か否か)によって大きく異なることが明らかとなった。 社会福祉協議会の在宅・通所サービスを利用している49名の高齢者(90%が自立から要支援)について平成9年1月から12年1月までその要介護度の経時的変化を追跡した結果、3割で移動に関する軽度のレべルの低下、そして1割で軽度の精神レべルの低下が観察された。レべル低下の関連要因としては骨関節疾患の有無が有意の関連を示した。この結果は、生活支援事業が虚弱高齢者の要介護度レべルの上昇の予防に効果があること、特に骨関節疾患などに伴う移動能カの低下と閉じこもりをいかに予防するかが重要な視点となることを示唆している。
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