研究分担者 |
小山 矩 広島県立保健福祉短期大学, 放射線技術科学科, 教授 (30034044)
羽根田 清文 広島県立保健福祉短期大学, 放射線技術科学科, 助手 (30280192)
稲邑 清也 大阪大学, 医学部, 教授 (90203207)
長谷川 智之 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (10276181)
池田 俊昭 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (00184424)
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研究概要 |
戦後、我が国の平均寿命は,男が10年連続,女が11年連続世界一を記録し,世界の最長寿国となっている。また、我が国の普通世帯の総数は1990年には1955年の2.3倍に増加しているが,夫婦とその子どもからなる核家族世帯が2.4倍,単独世帯は13.2倍に著しく増加しているが,三世代世帯には増加がほとんど見られない。さらに,単独世帯の急激な増加により平均世帯人員が1994年には2.95人となっており,3人を切るに至っている。そこで本研究では,高齢化や世帯人員の減少が進み,さらに少子化へと進む社会で,『安心して,どこでもだれでもが同じ医療サービスを受けられる,すなわち,地域格差のない医療サービスが受けられる』,在宅医療支援システムを構築する。すなわち,高齢者が希望する家庭や訪問看護者によって収集された健康情報をはじめとした在宅患者のデジタル画像・検査データなどの医療情報を病院内の主治医に伝送し瞬時の対応を仰いだり,その逆方向の情報伝送で主治医が家庭や訪問看護者に指示を出したりできる伝送システムを構築すること,短距離通信には簡易型の無線イーサーネットを利用しての伝送も可能な最適システムを構築することを目的として行われた。 大災害の際にも役立つ遠隔放射線診断のための経済的でコンパクトな医療情報の伝送システムを構築した。本構築システムでは有線LANや無線LANを用いて画像や診断レポートを伝送できる。システムは有線伝送方式として従来のEthernetを利用した有線LANを,無線伝送方式として無線LAN(日本無線社製)やアップルリモートアクセス(Apple社製)を利用したPHS・携帯電話などの移動式電話回線を用いた。 容量1MBのデータの伝送時間は,有線伝送方式を利用した場合には5秒,無線伝送方式のうち,無線LANを利用した場合には13秒,携帯電話回線を利用した場合には625秒であった。容量3MBの1枚の画像を伝送した実験では,無線LANは有線LANに比べ,伝送時間が4倍となった。これは空中伝幡状況が悪化するなどの伝送路の環境の変化があるために,情報伝送網にエラー訂正機能を持たせたことに起因する。画像や診断レポートを鎖状に連結してもその伝送速度は十分利用に耐え得る。しかし,犠牲者(あるいは被災者)の同定やプライバシィ,セキュリティなどの重要課題は,大地震などの災害環境を模した環境でのシミュレーションにより評価しなければならない。
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