研究概要 |
騒音職場において、耳栓を選択する際のポイントは、遮音性能に直接影響する外耳道とのフィットネスであることは多くの研究者が指摘してきたところである。これを耳栓を装着した作業者自身がつぶさに目で見て実感することができれば、聴力保護のための労働衛生教育に大いに役立つことは間違いない。これを実現することを目的として,比較的暗騒音レベルの大きな作業現場周辺においても,容易にチェックすることが可能な耳栓の遮音性能試験器のプロトタイブの装置を開発している。 実耳による耳栓の遮音性能の推定法に採用する聴覚試験法としては、暗騒音が大きくても影響が少ない70dB程度のレベルで実施できる音像定位法をとりあげることとした。まず、実験室において上記の聴覚試験法を実施する実験装置を将来現場に持ち込む実用機のプロトタイブとなるべきものとして,試作している。 試作装置は,ヘッドセットとして,市販されている最小可聴閾値の上昇を測定するタイプの簡易型耳栓遮音性能チェック装置のものを転用し,左右両耳に入射する音圧レベルを,頭の中央に音像を定位するように被験者に調整させる機能を有している。またへッドセットからの出力をモニターするための機能も備えるように設計している。 現在は,数種類の耳栓を用いて,最小閾値の上昇を測定する既存の方法による測定値と,音像定位法による測定値の比較を行うための予備的実験を実施しながら,試作装置に改良を加えている段階である。予備実験の段階では,音像の定位のさせやすさは,試験音の周波数によって異なることが判明してきた。したがって,試験音を純音とするか,狭帯域のノイズとするか,またその周波数構成の選定などが課題として残された。
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