研究概要 |
ミネラルのパラコート中毒への影響については我々が最初に見い出し、ミネラル特にマグネシウムの不足が中毒を促進することを報告した(Dietary Mg and/or K restriction enhances paraquat toxicity in rats.Arch Toxicol,1998)。パラコートの毒性は活性酸素による過酸化によるとされているが、老化や虚血性心疾患も過酸化に起因している。パーキンソン症の原因はまだ判明していないが、パーキンソン類似症状をひきおこすMPTPとパラコートの構造は酷似している。生体内の酸化還元反応にはミネラルが関与しているので、パラコートの毒性がミネラルの過不足に影響されることは当然ことであるのかもしれない。 平成10年度科研費で、ミネラルを測定するための原子吸光光度計を入手することができたので、マグネシウム不足により中毒が促進したラットをコントロールラットと比較することにより、種々の知見をえることができた。ラットはヒトと同じようにビタミンCが合成できないODSラットを用いた。「パラコート中毒における血清中の金属レベルの変化」の演題で法医学会,2000年4月に発表した。「ミネラル半減食によりパラコート中毒の促進をきたしたラットの組織中アスコルベートラジカル」の演題で生体フリーラジカル研究会,2000年11月に発表した。「マグネシウムの不足によってパラコート中毒促進をきたしたラットの組織中マグネシウム、鉄、亜鉛レベル」の演題でJSoFF学術集会,2000年11月に発表した。また今までの銅の定量法の1/400の量で銅を定量する方法を開発したので、日本法中毒学会2001年7月、およびIndo-Pacific Congress on Legal Medicine and Forensic Sciences,2001,Septemberで発表予定である。
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