研究概要 |
パラコー中毒へのマグネシウム不足の影響をみるために、ラットを種々の条件下で7日間飼育した。(1)正常食コントロール群(2)全ミネラル半減食群(3)正常食パラコート125ppm投与群(4)マグネシウム半減食パラコート125ppm投与群(5)全ミネラル半減パラコート125ppm投与群(6)正常食パラコート250ppm投与群。肺への出血がみられたのは、(4)(5)(6)群で、これらの血漿中のキニノゲンレベルは5倍に増加したいた。腎表面が顆粒状になっていたのは(4)(5)群であった。組織中のマンガンの濃度は非常に低いため、従来の方法ではラット組織での定量は困難である。ESR法を用いた高感度で簡便な定量法を開発した(法中毒学会,2002 ; TIAFT,2002発表予定)。以上のラットの肺、肝、腎、心、脾、血漿のカルシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、マンガンを定量した。最も変化が大きい金属はカルシウムで(4)(5)(6)の腎では10倍、20倍、3倍に増加し、(5)の心でも2倍の増加がみられたが、その他の組織では変化がなかった(ISALM,2002発表予定)。次に変化が大きい金属は銅で、(4)(5)(6)の肺、肝、血漿で2倍に、腎では半分に変動していた(Clin Chem,2001,Jpn J Forensic Toxicol,2001)。マグネシウム、亜鉛の変化は少なかった。(2)(3)群はいずれの組織においても、いずれの金属についてもコントロール群と有意な差はなかった。
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