研究概要 |
Rh抗原は,互いに相同性の高いRHCEとRHD遺伝子にコードされているが,Rh抗原を全て欠損するRhnull表現型のなかには,RH遺伝子とは別の坐位に存在するRH50糖蛋白遺伝子の異常に起因するものが存在することを明らかにした(Ann Human Genet 62: 107-113,1998)。このことによって,Rh50糖蛋白はRh抗原力が赤血球膜に発現するために不可欠の因子であることが明確になった。この事実に基づいて,Rh抗原発現細胞系の樹立を試みた。その結果、Rh50糖蛋白をもともと発現する赤白血病細胞株は,Rh cDNAを遺伝子導入するだけでRh抗原を発現するのに対し,Rh50糖蛋白をほとんど発現していない非造血細胞系の細胞株にRh50 cDNAとともにRh cDNAを遺伝子導入しても,Rh抗原は発現してこないことを明らかにした(IntJ Hematol 68: 257-268,1998)。また,Rh50遺伝子5'非翻訳領域のクローニシグし,そのプロモニター解析を行い,Rh50遺伝子の発現調節機構の解析も同時に行った。その結果,RH50遺伝子は赤芽球系細胞特異的に発現する機構を明らかにすることができた(Biochem Biophys Res Commun 243: 233-240,1998)。 さらに,Rh50 cDNAとともにRh cDNAを遺伝子導入した造血細胞系の細胞株に,ヒト骨髄由来のcDNAライブラリーを遺伝子導入し,Rh抗原の発現を指標にすることによって,Rh抗原発現に係わる第4,第5番目の遺伝子について現在精力的に解析を行っている。
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