研究課題/領域番号 |
10670402
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
小林 了 東京医科大学, 医学部, 講師 (40146775)
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研究分担者 |
水野 文雄 東京医科大学, 医学部, 教授 (50001904)
平井 莞二 東京医科歯科大学, 難研, 教授 (00100991)
伊藤 幸夫 順天堂大学, 医学部, 講師 (70053345)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | マイクロサテライト / PCR / 個人識別 / DNA / 口蓋扁桃 / TH01 / EBV |
研究概要 |
DNA研究の進展に伴って、法医学領域では個人識別、人獣鑑別、性別鑑定および親子鑑定などにDNA分析の手法が応用されるようになってきた。法医鑑定における個人識別では、PCRによる三座位(DIS80、HLA-DQαおよびTH01)を使った型判定が広く行われているが、特に、多くの多型性をもち、しかも分解の進んだDNAからも型判定が可能なマイクロサテライトが有力視されている。昨年度までに我々は、1)single cellを使ったsingle cell-PCR法を確立することによって、2)口蓋扁桃組織から分離したリンパ球一つ一つからマイクロサテライトTH01座位を決定し、3)健常人における細胞間のマイクロサテライトの不均一性を検索してきた。 本年度は、1)昨年度に引き続いて、ヒトの口蓋扁桃細胞を使ってマイクロサテライトの不均一性を明らかにするとともに、その不均一性が法医鑑定に及ぼす影響について考察し、2)Epstein-Barrウイルス(EBV)の中のマイクロサテライト様配列を調べることによって、マイクロサテライトの変異の機序を一般化することを目的とした。その結果、1)semi-nested PCR法を行った450本のチューブのうち、178本(39.6%)から型判定が出来た。そのTH01型を比較したところ、そのうちの一つの細胞で変異を認めた(0.56%)。今回、178個の細胞のうち一つの細胞に型の変異が認められたが、この割合では、実際の鑑定では問題にならないと思われた。しかし、臓器間で変異率が高まる可能性もあり、さらに検討が必要と思われた。2)EBVは初感染後ヒトの体内で不顕性感染を起こし、B細胞あるいは上皮細胞中で潜伏感染し続けることが知られている。EBウイルスは日本人の92%に感染しており、ウイルス遺伝子上で繰り返し構造を持った領域のうち2つが多型性を示すことを明らかにした。このウイルスはヒトが生後獲得するもので、ヒトの血液DNAのなかに証明されかつ多型性を示すため、ヒトにおける後天的なDNAマーカーと呼ぶことができ、一卵性双生児の個人識別をDNA分析で行える可能性を示した。
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