研究概要 |
STRの一つである vWF locusにおいて親に変異が生じて子に遺伝し、その変異はいずれの親由来であるかは判定出来なかった例が存在した。そこで、同じイントロン内に存在する別の2種のSTRを含む領域を父、子、母の3人についてPCR増幅し、その産物をクローニングした後に塩基配列を調べた結果、父親の長い方のアレルの反復数が1回増えたことが分かった。さらに日本人278人について vWFのタイピングを行ったところ、8種の対立遺伝子(アレル)と25の遺伝子型が観察された。アレル14を除いたアレル15からアレル21までの7種のアレルは5′-flanking retion-TCTA(TCTG)4(TCTA)nTCCA TCTA T-3′flanking regionの構造を持ち、nの値が10回〜16回まで繰り返していた。アレル14はTCTA,TCTG,TCCAの4塩基からなる3種の組み合わせで構成された複雑な塩基構成であった。このアレル14にはTからCへのトランジションが存在した。親子鑑定肯定例95例についてvWFのタイピングを行ったが、親子で矛盾するアレルは観察されなかった。現在、突然変異であることを証明する手段がない。今後は、single uncleotide polymorphismsを用いたハプロタイプでの突然変異の証明が必要であると考えられる。
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