成人および乳幼児の男性と女性(4群:各6例)について、Gb3の局在を免疫組織学的に検討した。成人では局在に性差はなかったが、女性のほうが反応が強かった。乳幼児では局在および反応の強さにおいて性差は認められなかった。成人と乳幼児との反応を比較すると、個体差がかなりあるが、乳幼児の方が有意に強かった。各臓器における局在は、腎臓では糸球体の血管内皮細胞およびメザンギュウム細胞、尿細管(近位および遠位)および毛細血管内皮細胞に、脳においては毛細血管内皮細胞および神経細胞さらに一部のグリア系細胞でも認められた。腸管では死後変化が強くGb3の局在検討は困難であった。 これまでヒトのGb3の局在についての系統的な検討は見当たらず、年齢、性別および臓器によって異なる可能性が報告されていた。今回、年齢および性別での局在に差異がないことが明らかとなったが、乳幼児ではGb3の局在が顕著であり、さらに個体差がかなり認められた。Gb3は本来血液型物質P型(CD77)であり、このP型との関連で個体差が出現している可能性が考えられる。 ウサギを用いLPS投与後にGb3の局在を検討すると、腎臓にその変化が認められた。正常ウサギでは、ヒトと異なって糸球体および尿細管にGb3の局在はほとんど認められない。しかし、LPSで感差・誘導すると糸球体、尿細管および毛細血管内皮細胞にGb3の局在が観察された。脳および脊髄では、LPS投与によるGb3の局在に差異は認められなかった。これらのことから、ウサギではLPSが腎臓におけるGb3の発現を促すことが明らかとなった。 なお、液体クロマトグラフィによるGb3の定量を種々試みたが、その方法を確立することは不可能であった。
|