アレルギー性炎症における結合織型肥満細胞エクトキナーゼの役割についての研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10670407
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 木谷 誠一 東京大学, 保健管理センター, 助手 (10231284)
• 研究分担者: 越野 健 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10282659) ; 森田 寛 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60107620) ; 手島 玲子 国立医薬食品衛生試験所, 主任研究官 (50132882)
• キーワード: エクトキナーゼ / 肥満細胞 / K252b

研究概要

IgEレセプター架橋後の初期伝達機構としてのK252bのリン酸化とカルシウム流入に及ぼす影響を検討した。K252bは、130kDAの細胞膜外のタンパクのリン酸化を抑制した。同時に、細胞外からのカルシウム流入を抑制した。さらに、酵素の基質特異性を注目して、RBL-2H3細胞の膜表面に存在するエクトキナーゼ活性について検討した。いくつかのタンパク基質の候補のうち、カゼインとカゼインキナーゼIIのペプチドが、最も強く[γ-^<32>P]ATPにてリン酸化された。こちらのカゼインとカゼインキナーゼIIのペプチドのリン酸化は、細胞膜不透過性の抑制剤であるK252bによって、完全に抑制された。ウェスタンブロッティングにて、膜画分とFc_∈RI複合体に分子量44-kDaのカゼインキナーゼIIのバンドを検出した。これらの結果より、肥満細胞の細胞膜に存在するK252b感受性のカゼインキナーゼIIは、IgEレセプター架橋に伴い、カルシウムチャネルの制御を介して、細胞内外の情報を中継することが推定される。

研究成果

• [文献書誌] Kitani S.: "Allergy: from allergen specificity to environment factors"Current Topics in Biochemical Research (pub.Research Trends).. 1. 217-225 (1999)
• [文献書誌] Kitani S.,Teshima R.,: "Casein kinase II-like ectokinase activity on RBL-2H3 cells"Immunol. Lett.. 68,(2-3). 217-374 (1999)
• [文献書誌] Kitani S., Morita Y., Koshino T.: ":Novel polymorphism of 5-lipoxygenase activating protein (FLAP) promoter gene associated with asthma"Mol. Cell. Biol. Res. Commun. 2. 32-35 (1999)
• [文献書誌] 木谷誠一: "アレルギーの病態 環境とアレルギー"臨床と診断. 87・2. 248-252 (1999)
• [文献書誌] Kitani S., Morita Y., Koshino T.: "Expression of 5-lipoxygenase and 5-lipoxygenase-activating protein mRNAs in the peripheral blood leukocytes of asthmatics"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 247・2. 510-513 (1998)
• [文献書誌] 木谷誠一: "アレルギー疾患 認定医専門医のための内科学レビュー'98"総合医学社. 2. 284-288 (1998)
• [文献書誌] 木谷誠一: "アレルギー疾患.内科学II(2分冊)"(文光堂). 2170-2173 (1999)