研究概要 |
1 シグナルトラップ法とハイブリドーマテクノロジーにより抗ヒトIL-12受容体(IL-12R)β1鎖に対する単クローン抗体(TOS)を樹立した。TOSは正常末梢血およびIL-12R導入細胞から等しく110kDの蛋白を共沈し、リガンド結合及びT細胞増殖反応における結果から中和性抗体であった。TOSを用いてIL-12刺激によって誘導されるT細胞系でのシグナル伝達系の解析を試みた。その結果、IL-12刺激により85kDの蛋白(p85)のリン酸化が速やかに誘導されることを見いだした。p85は細胞膜蛋白と考えられ、IL-12Rの一部を構成する可能性が示唆された。別に報告されているβ2鎖とは分子量が明らかに異なり、IL-12Rのサブユニットであるか否か今後の追及を必要とする。 2 さらにIL-12Rβ1鎖のT細胞以外の細胞における発現はこれまで一定の見解はなされていない。そこで、TOSにより検討した結果、末梢血単球由来の樹状細胞において強い発現を認めた。現在、樹状細胞における発現の意義を、リン酸化蛋白の同定を主眼として検討中である。 3 シグナルトラップ法を用いてトロンボポエチン受容体(c-mpl)に対する抗血清抗体の樹立に成功した。この抗血清はc-mpl結合により血小板の増殖を促した。今後、血小板減少、血小板増多の病態を解明するうえで手がかりとなりえよう。 4 ハイブリドーマテクノロジーによりケモカイン受容体であるCCR-1,CCR-3に対する単クローン抗体を樹立した。CCR-1,CCR-3とも樹状細胞に発現することを確認し、その生物学的意義を解析中である。
|