研究概要 |
我々は、健常人より採取した好酸球の細胞表面FcεRIの発現をflow cytometryで検討した。その結果、分離直後の好酸球にはFcεRI発現を全く認めないものの、培養後にFcεRIを発現誘導しうることが判明した。この発現の特徴として,以下の点を明かにした。 1)IL-4,IgEの存在下で2日間以上培養後に好酸球表面にFcεRI発現を認めるが、IgE、IL-4の一方だけでは発現は誘導されない。 2)発現の速度は緩徐で、しかも発現量はflow cytometryの蛍光強度に基づく半定量により比較すると肥満細胞の1%以下と少ない。 3)生存延長因子の非存在下では好酸球は培養早期に死滅するため、実験には培養液中にIL-5の添加が必要である。 4)IgEとIL-4の存在下で1週間培養し、FcεRIを最大限に発現させた好酸球に対し、FcεRI架橋刺激を加えても、脱顆粒(EDN遊離)、ロイコトリエンC4産生、カルシウム流入を全く認めなかった。このような好酸球のFcεRI発現の特徴を肥満細胞と比較すると、IgEが発現に必須である点が好酸球の際立った特徴と考えられる(論文投稿中)。 これらの結果から、マスト細胞や好塩基球以外でもFcεRI発現がIgEによる制御を受けていることが明らかとなり、しかも、FcεRI発現制御機構は好酸球においてもおそらく同様と考えられる。従ってIgE,FcεRIをターゲットとした治療が、FcεRI発現細胞全般に作用しうると推測された。
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