研究課題/領域番号 |
10670415
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 修治 九州大学, 医学部, 講師 (40164248)
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研究分担者 |
出原 賢二 九州大学, 医学部, 助手 (00270463)
中村 稔 九州大学, 医学部, 助手 (40217906)
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キーワード | がん遺伝子 / アポトーシス / シグナル伝達 / Focal Adhesion Kinase / rac / rho / 足場依存性喪失 / Srcチロシンキナーゼ / ras |
研究概要 |
正常上皮細胞が基質への接着を阻止されるとアポトーシスにより細胞死を起こす。この現象はアノイキスとよばれ、癌細胞はアノイキスは起こらないことが特徴であり、これが癌細胞の持つ足場依存性喪失を説明でき、また浸潤や転移に関連していると考えられている。しかしその詳細な機序は不明のままである。我々はヒト細胞のアノイキス抵抗性を解析するため、ヒト上皮細胞であるHAG-1にシグナル伝達の要である活性型Ras,v-Srcを導入し、癌化とアポトーシスについて解析した。この細胞はSrcでのみ癌化し、同時にアノイキスも誘導されなかった。このv-srcによるアノイキス回避の機序を、Src下流のシグナル分化との関連で解析した。v-src導入細胞ではインテグリンと細胞骨格蛋白との間に介在するFocal Adhesion Linase(FAK)の恒常性のチロシンリン酸化がみられ、またsrcチロシンリン酸化阻害剤であるハービマイシンAで処理するとFAKのリン酸化の阻害とともにアノイキスが誘導された。更にFAKのアンチセンスでアノイキスが誘導されることを確認し、SrcによるFAKのチロシンリン酸化とアイノキス抵抗性に深い関連があることを見出した(J.Cell Biol.投稿中)。 更にアデノウイルスベクターに組み込んだdominat negative RasでRas機能を抑制するとv-Src導入細胞の造腫瘍性が消失したため、v-srcによる癌化はRas機能が必要であることがわかった(Cancer Res.投稿中)。またRas下流のsmallGTP蛋白であるRacは細胞の形質転換、細胞接着、細胞遊走能、接触阻害の解除などを制御しているので、Racの癌細胞の浸潤、造腫瘍能における役割を変異抑制分子を用いて解析した。アデノウイルスベクターに組み込んだDominant negative RacでRac機能を抑制したところ、v-srcで癌化したHAG-1細胞の遊走能と浸潤性が抑制され、造腫瘍性も完全に消失した。このためv-srcによる癌化におけるRac機能の重要性た初めて示唆された。src下流のphosphatidylinositol-3 kinase(Pl-3 kinase)阻害剤であるWortmanninでは浸潤能は軽度の低カのめで、Srcによる浸潤能はPl-3 kinaseよりもRacが深く関与している可能性が示された。
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