川崎病患者末梢血に出現するCD4^+CD8^+T細胞について解析し、以下の成績が得られた。 (1)CD4^+CD8^+T細胞が末梢血中に出現する患者のT細胞サイトカイン産生プロフィールを検討するとIFN-γ、IL-2産生が同年齢健康小児のそれより少なく、IL-4の産生はコントロールと同等かやや高値だった。従って、IL-4産生とIFN-γ或いはIL-2産生の比をとると、この比は患者群ではコントロール群に比べて著明な高値を示した。即ち、患者T細胞はTh2優位の状態であることが判明した。 (2)CD4^+CD8^+T細胞が多数出現する患者の末梢血を培養し、この培養系に坑ヒトIL-4抗体を添加すると濃度依存症にCD4陽性T細胞上のCD8抗原が減少し、ついには消失した。この効果はヒトIL-4添加により阻止された。さらに、コントロールとして用いた坑ヒトIL-2抗体ではこのような効果は発現しないことより、CD4陽性T細胞上のCD8抗原の消失効果は、坑ヒトIL-4抗体の特異的作用と判断された。 (3)CD4^+CD8^+T細胞が多数出現する患者の末梢血を培養し、この培養系にIFN-γ或いはIL-2を加えることにより(1)で示したTh2優位条体の条件からTh1優位条体の環境に変化させ、CD4陽性T細胞上のCD8抗原が減少するか否かを検討した。結果は、いかなる濃度のIFN-γ或いはIL-2においてCD8抗原を減少させる作用は認められなかった。 以上の結果から川崎病患者に出現する末梢血中のCD4^+CD8^+T細胞の存在にはautocrine或いはparacrineに作用するIL-4が重要であることが判明した。
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