研究概要 |
1.薬効成分(GL)が結合するHIV-1 proteinの同定と活性阻害: 抗炎症および抗ウイルス作用を有するグリチルリチン(GL)が直接結合するウイルスprotein(GLの分子標的)を明らかにする目的で,大腸菌での産生系で発現させたHIV-1 reverse transcriptase(PT)とprotease(PT)をGL-affinityカラムで精製した.その結果,PTとPTはGL結合性protein(gbP)として選択的に精製された.しかしながら,GLはRTとPTの酵素活性を有意に阻害しなかった.Protein kinaseの一種であるCK-IIはRTとPTをリン酸化してその酵素活性を活性化した.GLは,CK-IIによるリン酸化を介したRTとPTの酵素活性を選択的に阻害することを明らかにした. 2.gbPの生理作用の特異的阻害剤に関する解析結果: 精製gbPの生理活性を選択的に阻害する各種化合物の作用をin vitroで解析した.その結果,各種抗炎症剤(サポニンやステロイドホルモンなど),フラボノイド化合物(EGCG,カテキンやクエルセチンなど),そして放線菌から分離した塩素を含むpolyphenol系化合物8-chloro-3',4',5,7-tetrahydroxyisoflavone(8C3',4',5,7-THI)などは,CK-IIによるリン酸化によるGL結合性RTとPTの活性化や60S acidic ribosomal proteinのリン酸化を選択的に阻害することを明らかにした. 3.薬効成分に感受性因子の検索に関する解析結果: リウマチ患者およびアトピー性皮膚炎の小児患者の血清中に通常の検出法では検出不可能な微量マーカーprotein(p96,p54,p31およびp14など)をgbPとして検出した.精製gbPのアミノ酸配列の解析から,p96(LOX),p54(hyaluronidase),p31(HMG-1)およびp14(sPLA2-IIA)などを同定した.
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