研究課題/領域番号 |
10670428
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
広畑 俊成 帝京大学, 医学部, 助教授 (90189895)
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研究分担者 |
柳田 たみ子 帝京大学, 医学部, 助手 (80082204)
橋本 喬史 帝京大学, 医学部, 助教授 (30082142)
宮下 琢 帝京大学, 医学部, 助手 (00239401)
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キーワード | SLE / B細胞 / T細胞 / CD40リガンド / 抗CD3抗体 / Fas / アポトーシス / IL-12 |
研究概要 |
本年度は、SLEに代表される自己免疫疾患におけるB細胞の異常活性化メカニズムを解析するために、B細胞のFas抗原の発現動態とその役割、及びT細胞のCD40リガンドの発現の調節機序とそれがB細胞の活性化に及ぼす影響について検討を行った。固相化抗CD3抗体刺激下にマイトマイシンC処理T細胞とB細胞を混合培養してB細胞を活性化した際に、B細胞表面上のFas抗原の発現は増強した。さらに、抗Fas抗体を添加した際に、このB細胞によるIg産生は著明に抑制された。従って、T細胞依存性に異常に活性化されたB細胞はFas依存性のアポトーシスにより鎮静化されうることか明らかになった。しかし、抗CD3抗体刺激により誘導されたサプレッサーT細胞の表面にはFasリガンドは殆ど発現されておらず、また抗Fasリガンド抗体を添加しても、これらのサプレッサーT細胞のB細胞への抑制作用は変化しなかった。従って、生体内ではサプレッサーT細胞はFas-Fasリガンドとは別の抑制システムを有していることが考えられた。一方、抗CD40リガンド抗体を添加することにより、サプレッサーT細胞のB細胞抑制活性は有意に低下したことから、CD40-CD40リガンドを介したシグナル伝達がB細胞の抑制作用に関与していることが明らかとなった。次に、固相化抗CD3抗体でT細胞を刺激した際、IL-12を添加するとT細胞によるIFN-γ産生が増加するとともに、その表面のCD40リガンドの発現も有意に上昇した。逆に、IL-4あるいはIL-10は、抗CD3抗体で活性化されたT細胞のIFN-γ産生を低下させるとともに、そのCD40リガンドの発現も有意に抑制した。従って、このようなTh1細胞とTh2細胞への分化とCD40リガンドの発現は並行しており、これがB細胞の抗体産生の調節において重要な役割を果たしていることが示唆されるに至った。
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