研究課題/領域番号 |
10670430
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
橋本 喬史 帝京大学, 医学部, 助教授 (30082142)
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研究分担者 |
柳田 たみ子 帝京大学, 医学部, 助手 (80082204)
宮下 琢 帝京大学, 医学部, 助手 (00239401)
広畑 俊成 帝京大学, 医学部, 助教授 (90189895)
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キーワード | Tリンパ球 / SEC1 / 固相化抗CD3抗体 / IFN-γ / Tリンパ球抗原レセプター / 好中球 / actin / 進行性神経ベーチェット |
研究概要 |
これまでの研究を追試して以下の点を確認した。すなわち、ベーチェット病患者Tリンパ球の低濃度SEC1に対する異常反応性は、慢性関節リウマチ患者単球の存在下でも見られたのに対し、ベーチェット病患者単球は慢性関節リウマチ患者Tリンパ球のSEC1に対する反応性に対して変化を及ぼさなかった。一方、固相化抗CD3抗体刺激下においては、低濃度においても高濃度においても、Tリンパ球によるIFN-γ産生はベーチェット病・慢性関節リウマチの間に有意差は認められなかった。しかし、低濃度のSEC1に対しては、ベーチェット病で有意に高いIFN-γ産生を示した。従って、ベーチェット病におけるTリンパ球の過敏反応性においては、Tリンパ球抗原レセプターのVβ鎖とCD3分子間のシグナル伝達の異常が重要な役割を果たしている可能性が強く示唆された。さらに、ベーチェット病患者末梢血Tリンパ球の抗CD3抗体に対する反応性の単球による増強効果は、ベーチェット病患者と慢性関節リウマチ患者との間で全く差がなかったことからcostimulatory signalの異常亢進がベーチェット病患者Tリンパ球の異常反応性に関与する可能性はないと考えられた。一方、ベーチェット病では好中球の異常が見られることはよく知られている。そこで、ベーチェット病患者好中球の発現されている蛋白の解析を行った。その結果、ベーチェット病患者好中球には健常人好中球に発現している53kD(pl5.2)の蛋白が欠失しているかわりに、健常人好中球には見られない40kD(pl5.2)が発現していることが明らかになった。N末端のアミノ酸解析の結果、この40kDの蛋白はtruncated actinであることが明らかになった。また、ベーチェット病の難治性病態の一つである進行性神経ベーチェットは、髄液IL-6の持続的高値を特徴とする。メトトレキサートの少量パルス療法により、この髄液IL-6の低下とともに、症状の進行を抑制できることが明らかとなった。
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