研究概要 |
AAアミロイドーシスの組織沈着アミロイドの前駆蛋白acute phase serum amyloid A(SAA)にはSAA1とSAA2があり、SAA1にはα、β、γ、SAA2にはα、βの遺伝子多型が存在する。1995年Babaらは慢性関節リウマチ(RA)続発AA患者で、SAA1γ/γの頻度が対照より有意に高いことを報告した。我々は、これを追試すべく多数例のAA合併RA患者と非アミロイドーシスRA患者でSAA1遺伝子多型を検討し、さらに沈着アミロイド中に混在が報告されているSAA2についても遺伝子多型を解析した。 対象と方法:胃粘膜生検または腎生検で診断されたAA合併RA27例(A)罹病5年以内のRA70例(R)、コントロール102例(C)の3群で、PCR-SSCIP,PCR-RFLP法によりSAA1およびSAA2の遺伝子多型を解析した。 結果:A群でSAA1γ/γは37.0%にみられ、R群(7.1%P<0.0005)、C群(12.7%P<0.005)に比して有意に高率で、SAA1γ-allele頻度はそれぞれ、57.4%、33.6%(p<0.005)、37.7%(p<0.01)であった。一方、SAA1α-alleleの頻度は、A群で有意に低かった(A群11.1%、R群35.7%P<0.001、c群31.9%P<0.005)。SAA1γ-alleleを1個もつもの、SAA1γ/γ-homozygoteにおけるAA発症のodds ratioは、それぞれ1.39、9.33であった。一方、SAA2α,β-alleleの分布は3群間で差を認めなかった。また、SAAlγalleleを多く持つほど、RA発症から、アミロイドーシス発症までの期間が有意に短縮した。 以上より、SAA1γ-alleleはハアミロイドーシス発症の危険因子であり、SAA1α-alleleはアミロイドーシス発症に抑制的に働くことが示唆された。
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