研究概要 |
続発性アミロイドーシス(AAアミロイドーシス)は慢性関節リウマチ(RA)患者死因の第3位を占める難治性、進行性の病態である。本症で臓器に沈着するアミロイド繊維は、急性炎症淡白である血清アミロイドA(SAA)に由来し、慢性炎症が持続し長期大量にSAAが供給され続けることが発症の必須条件である。しかし、本症は強い炎症が長期持続した関節破壊の著しい症例の全例ではなく、その一部にしか見られない。アミロイドーシス発症に関わる要因は不明のままであった。1995年のBabaらの論文(Human Molecular Genetics,4:1083,1995)から発展し、SAA1遺伝子のallotypeα、β、γおよびSAA2遺伝子のallotypeα、βについて、正常人、RA患者、続発性アミロイドーシス患者で検討し、次の結果を得た。1)SAA1γ遺伝子のホモ接合体においてはアミロイドーシス発症の相対危険度は4.48倍と高く、α接合体は発症に抑制的に作用すること、2)しかし早期RAと正常人ではSAA遺伝子allotypeの頻度に差はなく、SAA1γはアミロイドーシス発症の危険因子であり、RA発症の危険因子ではないこと、3)SAA2遺伝子のallotypeではアミロイドーシス発症に差がないこと、4)SAA1γ遺伝子を有するものではRA発症からアミロイドーシス発症までの時間が短いこと、5)SAA1γ遺伝子を有するものではアミロイドーシス発症前のCRPが高値であること、6)韓国、台湾ではSAA1α、β、γの頻度は日本と差がないことを見いだした。 SAA1γ遺伝子はAAアミロイドーシス発症の既知の要因のうち最も相対危険率が高い危険因子である。今後は、SAA1γgeneあるいは蛋白の存在が、どうアミロイドーシスを発症に関連するかの機序の検討が必要である。
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